SONY DTC-A8 DAT修理


現象

2008年の8月に引っ越しのため仕舞い込み、2016年5月にオーディオ再開で取り出し。
8年近く押し入れで眠っていた本機の再生音はノイズだらけになっていた。

再生前に

こちら 様のサイト(DAT解体新書)によれば、劣化したヘッドクリーナーによりドラムヘッドがダメージを受けるとのことで。

案の定でした。粉がついているだけではありません。ドラムが一部腐食し凸凹になっています。
おそらく、スポンジが加水分解し、硫化物あるいは硝酸系生成物が発生、アルミを侵したと思われます。

車からコンパウンドを出し、綿棒につけて軽く磨きます。中目→細目→極細目と仕上げました。
凹みはどうにもなりませんが、凸が無くなったのか引っかかり感は取れました。

ヘッド、問題なさそうです。
ドラムは鏡面ではなく、拡大すると機械加工の跡が結構あります。
昔買ったUSBスコープが役立ちます。これは目視困難です。

再生、ノイズだらけ

DAT特有のエコーっぽいノイズ音。
疑わしいRFアンプのコンデンサを確認。2,3外して容量計で見て見るも正常。
テープパスの問題っぽいと判断。

こちらのテープポストがグラグラ。 再生中にポストを動かすとノイズが無くなる。
右側のポストはしっかりしていることから、左ポストが固定されずテープパスが安定しないことが原因。

このギアが左右反対方向に回転しポストをガイド?に押しつけて固定します。
ポストはスプリングで若干の自由度をもっており、左右のギア位相が少し狂ってもガイドに押し当てられるようになっていますが、許容範囲を超えていたようです。
ばらして調整しました。なぜずれたのか不思議です。

定番のRFアンプ部コンデンサ予防交換

本機のRFアンプコンデンサは現状、問題ないことがわかっていますが、予防交換。

22uF/6.3V x5、4.7uF/35V x1です。全て5Vがかかるため35V耐圧は必要ありません。
チップタンタルに置き換えました。
チップタンタルの故障モードは短絡が多く危険なので、故障予防の耐圧ディレーティングが必要です。
耐圧の1/2で使うのが定番です。
電解コンはあまり耐圧ディレーティングする必要はありません。
適度に化成を維持させておくためです。

デッキ部ランプ

8年前の元気な頃に取り付け。
電源はトランス2次側から引いてます。

その他、バックアップLi電池交換。
この機は4DDモーターで、非常にソリッドなメカ音がして、信頼できそうな感じ。
ほとんど使われなかった業務機材で、もらい物ですけどね。
A8はセミプロ機で、内容はプロ機のPCM-2600、DTC-ZA5ESとほとんど同じです。


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Created: 2016/05/28
Updated: 2016/06/15