Fluke884x ネットワークインタフェースカード(FlukeNIC)


はじめに

Fluke8840/8842は1980年代前半〜90年代後半にかけて製造されたベンチトップメータで、製造から40年程度も経過し、とっくに第一線を退きヤフオクはじめジャンク市場にしばしば出てくる。動作品で5000円程度の場合もみられる。

経験上、Flukeのメータはどれも精度の経年変化が非常に少ないが、とりわけ8840/8842は良く設計されていて、標準器グレードの主要コンポーネントが投入され、5.5桁スペックながら現在の6.5桁メータと同等の精度(8842の基本DC確度30ppm/1年)となっている。

精度はともかく、ベンチトップならではの機能として欲しいのは長時間ロギングだろう。
GPIB+PCで可能だが、専用I/F、太いケーブル、PCソフトが必要など手軽とは言えない。

そこで、本体GPIBカードと置き換える実用的なインタフェースカードを製作した。
本カードを使えば、スタンドアロンでSDカードにロギングできるほか、WiFi接続してWebブラウザから8840xを操作できる。
本プロジェクトはハード/ソフト全てGithub公開とした。

本体/GPIBカード通信の解析

本体、GPIBカード間の通信プロトコルは開示されいないため、収集・解析を行った。
詳細は省くが、62.5kbit/s のシリアル通信で、1バイト毎のAckにより同期をとっている点が特徴的だ。
本体GNDは被測定回路の電位をもっているため、GPIBカードとはパルストランスで絶縁をとっている。
この絶縁部分をGUARD CROSSINGと称している。
測定結果、GPIBによるFunc/レンジ操作等の通信を把握できたため、インタフェースカード製作の目処がついた。

ハード製作

長時間ロギング(SDカード)、Webコントロール(WiFi)と来れば、ESP32一択だろう。
回路は凡庸で、SDカード(SPI)、RTC(I2C)とUART先の本体インターフェースを接続しているだけです。
純正GPIBカードと置き換えるよう、また本体の穴からSDカード、ESP32アンテナ部などが顔を出す基板設計とした。
リアパネル穴の高さとコネクタをあわせるよう、基板は2階建て構造とした。
BNCコネクタは基板固定を兼ねており、標準GPIBカード同様に外部トリガINとしても機能する。

ソフト製作

Arduinoをやめesp-idfとした。
ハード初期動作確認はArduinoでやっていたが、1バイト毎のAckや起動時カード認識タイミングなどで苦しくなると予想してesp-idfに変えた。
websocketを使いブラウザとリアルタイム通信することで測定値に加えグラフ表示なども行える。

概要はこの辺にして、詳しい内容はGithubを参照してほしい。


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Created:2025/09/06
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